bobsonsの日記

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ブログ初めてテストUP

アダム・スミスの最大の著作は道徳感情論やい!

 

完全に心を持って行かれたんだ。「光を見た」と言うのではこの高揚を表現するには弱々しい。あらゆる方位から光が降ってきた。

 

あれは確か3年か4年くらい前、大阪駅から京都駅行きの電車の車内でのことだったと思う。列車が走り出して10分ほどした頃、僕は本のページをめくる手をそれ以上先に進められなくなった。用いられている言葉選びの的確さ、概念の深遠さ、文句の優雅さ、論理構成の精密さ、構想の壮大さ、その全てに打たれ、それ以上に一字一句読み進める事ができなくなった。ただ湧き上がる感情に身を任せることに精一杯で、僕はページを閉じて、残りの30分近くをずっと立ち尽くしていたと思う。たぶん完全に心を持って行かれたんだ。偉大な、あまりに偉大な作品に触れた時に特有なこの高揚は、「光を見た」という表現ではあまりに弱々しい。それはまるであらゆる方位から光が降ってきたようだった。

1700年代のイギリスの哲学者アダム・スミスの、私の判断ではおそらく最も偉大な、最初の主著「道徳感情論」は、何百年たっても色褪せないクラシックに相応しいけど、一方で、この本を要約して紹介することは、アダム・スミスの熱烈なファンにとってさえちょっと難しい。その理由は、この偉大な作品が実にいくつもの側面を持つ重厚なものであるせいだ。


それは、まずもって、アダム・スミスに先立ってディビット・ヒュームが「人間本性論」で提案した急進的な「共感と慣習の原理」によって道徳の起源と一般原理を構築しようとした野心的な哲学作品だ。同時に、明晰な観察によって人間心理のメカニズムを描写した傑出した心理学作品であり、マンデヴィルが「蜂の寓話」で、ルソーが「人間不平等起源論」で論じた、”文明の進歩が人間道徳を退廃させていくだろうか?”という悲観的な説に対して正面から答えようとした社会学作品であり、そして、人間本性と自然法から統治の一般原理を引き出そうとする啓蒙主義時代を象徴する壮大な試みの第一弾となる作品だ。

考えられるかい?まだ何度も読まぬうちに、まして一冊の数分の一しか読まないうちに、その著作に対して生涯変わらぬ賛辞を誓った事を、後年になって後悔するどころか、後年になればなるほど賢明だったと納得するような事ってあるだろうか?

本を開くことは扉を開くこと。歴史上最も優れた作品の扉はすぐそこにあって、間違いなく僕らはその入口にいる。どうぞ一読あれ。

 

 

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